WindowsやMacでは「ドライバーのインストール」に悩まされることも多いUSB機器ですが、実はLinux MintはUSBオーディオ機器との相性が抜群なんです。
多くのUSB-DACやUSBスピーカーは、繋ぐだけで「標準ドライバー(USB Audio Class)」として認識され、すぐに最高品質の音を鳴らすことができます。
今回は、一歩踏み込んで「Linux MintでUSBオーディオを120%使い倒す設定」を見ていきたいと思います。
USB DACとは
USB DAC(ユーエスビー・ダック)とは、パソコンやスマホなどのデジタル音源を、USBケーブルで接続するだけで高音質なアナログ信号に変換してくれる外付けの変換器(DAC: Digital to Analog Converter)のことで、内蔵のDACよりも高性能でノイズの影響を受けにくく、イヤホンやスピーカーでよりクリアで迫力のあるサウンドを楽しめるようになる機器です。

私が長年使っているのはSteinbergのUR12。USBケーブルで接続すればすぐに認識してくれます。
このUSB DACをハードオフで安価で入手してきたアンプ&スピーカーと接続して使っています。

最近ではかなりコンパクトなアンプ内蔵やスピーカーと一体になったUSB DACも販売されており、パソコンで音楽を楽しむ環境がかなり充実してきていますね。
1. 繋いだらまず確認!「出力先」の切り替え
基本的に、USBスピーカーやUSB-DACを接続すればすぐに音が出るのですが、うまく音が出てくれないこともあります。これは、システムが「どこから音を出すか」を迷っているからです。
- デスクトップ右下の音量アイコンをクリック。
- 「サウンド設定」(または出力デバイスの選択)を開きます。
- 「出力」タブに表示されている自分のUSB機器の名前を選択します。

2. PipeWireのパワーを解放する
最新のLinux Mint(21系以降)では、PipeWireという次世代のオーディオエンジンが標準、あるいは導入可能な状態になっています。これは、プロ用機材のような「低遅延」と「高音質」を両立させる仕組みです。
USBオーディオの性能を引き出すために、以下のアプリを導入してみましょう。
魔法のツール「EasyEffects」
USBスピーカーは小型なものが多く、低音が物足りないことがあります。それをソフトウェア側で補正するのがEasyEffectsです。

インストール方法: ソフトウェアマネージャで「EasyEffects」と検索してインストール。
できること: 「+エフェクト追加」ボタンをクリックしてリストの中からエフェクトを追加。例として次のような
- イコライザー: 特定の周波数をブーストして、好みの音色にする。
- ラウドネス: 小さい音量でも迫力ある音にする。
- ピッチ: 曲の音程をリアルタイムで変更しながら再生。カラオケに便利です。
3. 「ビットパーフェクト」への挑戦
音楽ファイルを「OSの加工を一切通さず、そのままDACへ送り込みたい」というこだわり派の方へ。Linux Mintなら、Windowsでいう「ASIO」や「WASAPI排他モード」のような環境も簡単に作れます。
オーディオプレーヤー「Strawberry」を使用するのが一番の近道です。
- Strawberryの設定画面から「出力」を選択。
- 出力先を「出力プラグイン:ALSA」に変更。
- デバイスを「(自分のUSB機器の名前) [direct]」に設定。
これで、OSのミキサーを通さない「ビットパーフェクト再生」が可能になります。
USB接続こそLinux Mintの真骨頂
Linux Mintは、余計な常駐ソフトが少ないため、USBバスパワーの安定性やデータ転送の正確性が高く、ピュアオーディオファンにも愛用者が多いOSです。
- まずは繋ぐだけ(ドライバー不要の快適さ)
- EasyEffectsで補正(スピーカーの限界を超える)
- Strawberryで直出し(原音に忠実に)
この3ステップで、Linux MintのPC環境が立派なリスニングルームへと進化します。
(解説)PipeWireとは?
これまでの記事の中で、何度か「PipeWire」という名前が出てきました。
このPipeWireは、Linuxのオーディオ体験を劇的に変えた「立役者」です。
Windowsの場合は「オーディオエンジン」、Macの場合では「Core AudioのLinux版」と言えばイメージしやすいかもしれません。
以下の3つのポイントで解説します!
1. PipeWireは「音の交通整理さん」
パソコンの中では、YouTubeの音、Spotifyの音楽、システムのアラーム音など、たくさんの音が同時に鳴っています。これらを一つにまとめて、スピーカーやヘッドホンへスムーズに届ける「交通整理の司令塔」がPipeWireです。
- 昔のLinux: 「普通の音(PulseAudio)」と「音楽制作などのプロ用の音(JACK)」という2つの別々のシステムがあり、初心者がこれらを共存させるのは非常に大変でした。
- 今のLinux(PipeWire): これ一つで「普段使いの便利さ」と「プロ級の音質」を両立。何も考えずに繋ぐだけで、最適なルートで音を届けてくれます。
2. なぜ「高音質」と言われるのか?
PipeWireがすごいのは、「音の鮮度」を保つ能力が高いことです。
- 低遅延: 音が鳴ってから耳に届くまでのズレが極限まで少ない。
- 柔軟なサンプリングレート: 以前の解説で設定した通り、音源が「ハイレゾ」ならハイレゾのまま、余計な加工(劣化)をせずにDACへ送り出すことができます。
- モジュール性: EasyEffectsのような強力なエフェクト・ソフトを、音の経路の途中に「パズルのように」組み込むことができます。これが、先ほどまで解説していた「真空管の温かみを足す」といった自由自在なカスタマイズを支えています。
3. 普段は意識は不要
実は、「普段は存在を忘れていていい」というのがPipeWireのメリットです。
WindowsやMacでは、高音質な再生(排他モードなど)のために特殊な設定や高価なソフトが必要な場面でも、Linux Mint上のPipeWireなら、アプリ(Strawberryなど)側で少し設定を変えるだけで、OSの深い部分がそれに応えてくれます。


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