PCが歳を重ねるごとに「重い」と感じる正体は?Windowsの限界とLinux Mintが軽快な理由

「数年前はキビキビ動いていたWindows PCが、最近どうも重い……」

買い替えを検討する前に、一度立ち止まって考えてみると、実は、PCの「物理的な寿命」よりも先に「OSのメタボ化」が原因であることがほとんどなのです。

今回は、Windowsが使い続けるうちに重くなるメカニズムと、なぜLinux Mintならそのストレスから解放されるのか、その理由を解き明かしたいと思います。

記事の内容

Windowsが3〜5年で「重く」なる3つの主な理由

Windowsは多機能で優れたOSですが、その汎用性の高さゆえに、時間が経つほどリソースを食いつぶす傾向があります。

1,バックグラウンドプロセスの肥大化

アップデートのたびに新しいサービスが追加され、ユーザーが気づかない裏側で常に多くのプログラムが動いています。

2,レジストリと一時ファイルの蓄積

アプリケーションのインストール・アンインストールを繰り返すうちに、システムの設定データベース(レジストリ)が複雑化し、読み込みに時間がかかるようになります。

3,セキュリティ対策のオーバーヘッド

標的になりやすいOSであるため、常に強力なスキャンや監視がバックグラウンドで動作しており、これがCPUやメモリを常に圧迫してしまいます。

Linux Mintが「ずっと軽い」と言われる理由

一方で、Linux Mintを導入すると、まるでPCが若返ったかのような軽快さを感じます。これは気のせいではありません。

1,モジュール構造の潔さ

Linuxは必要な機能だけを組み合わせて動かす設計です。不要なサービスを徹底的に削ぎ落とした「軽量版(Xfce版など)」も選べます。

2,ファイルシステムの効率性

WindowsのNTFSと比べ、Linuxで使われるext4などのファイルシステムは断片化が起きにくく、データの読み書きが長期にわたって安定しています。

3,「勝手なこと」をしない

ユーザーの許可なく裏で巨大な更新プログラムをダウンロードしたり、インデックスを作成し続けたりすることが少ないため、ハードウェアの力をそのままアプリに回せます。

Core i7搭載なのに激重!? HDD環境でWindows 11が遅く、Linux Mintが快適な「決定的な理由」

「2018年に買ったPCなんですが当初は問題なく使えていたのに、今ではカメのように遅いんです……」

顧問先からの訴えに、スペックを拝見すると、Intel Core i7を搭載し、メモリーは16GB。ハイスペックです。
しかし、ストレージ容量は1TBありながらもHDD。

起動に6分半ほどかかり、Edgeを開くと画面は真っ白のまま3分。
タスクマネージャーを何とか開いてみるとディスクが100%になったまま、さらに10分。
これでは使い物になりません。

そうなんです。ストレージがSSDではなくHDD(ハードディスク)なんです。
この遅さは、「Windows 11がHDDを前提として作られていない」ことが最大の理由と言えるでしょう。

このPC、SSDに換装すれば、まだまだWindows 11でしばらくは使えそうですが、パーツに費用をかけたくないということで、Linux Mintを入れさせていただくことに。

SSD搭載機と比べると、電源投入〜起動、追加アプリのダウンロード & インストール、システム更新のダウンロード & インストールについては大幅に時間がかかりますが、それ以外はさほどストレスを感じることなく、十分に実用として使用できる状態になりました。

以下に、同じPCでもOSを変えるだけで劇的にレスポンスが変わるメカニズムと、「Linux Mintは機能が少ないから軽いのか?」という疑問について解説します。

1. 犯人は「足の遅いHDD」と「せっかちなWindows」

顧問先のPC(Core i7, 16GB RAM)は、人間で言えば「計算能力が高い優秀な頭脳(CPU)」と「広い作業机(メモリ)」を持っています。しかし、書庫(HDD)から書類を取り出すスピードだけが極端に遅い状態ということになります。

Windows 11がHDDを苦しめる理由

Windows 10以降、特に11は、ストレージが高速なSSDであることを「当たり前」として設計されています。
そのため、HDDにとっては拷問のような処理をバックグラウンドで絶え間なく行います。

ランダムアクセスの嵐 

Windowsは、ファイル検索のためのインデックス作成、ウイルススキャン、テレメトリ(診断データ)の送信、Windows Updateの準備などを裏側で常に行っています。これらはディスク上のあちこちを細かく読み書きする「ランダムアクセス」を大量に発生させます。

ヘッドが動きっぱなし

HDDはレコード盤のように物理的なヘッドが動いてデータを読みます。Windowsのバックグラウンド処理により、ヘッドがあちこちに飛び回り(シーク時間の発生)、本来ユーザーがやりたい「アプリの起動」などの処理が後回しにされてしまうのです。

これが「使い物にならない重さ」の正体です。CPUは暇をしているのに、HDDの順番待ちで全てが止まっているのです。

2. Linux Mintが快適なのは「お行儀が良い」から

一方でLinux Mintを入れると快適に動くのはなぜでしょうか?

ストレージがHDDの場合、Linux Mintでも「起動やインストール(大きなデータの読み書き)」には時間がかかります。 これはHDDの物理的な転送速度の限界だからです。

しかし、一度起動してしまうとサクサク動くのは、Linux Mintの以下の特性によります。

静かなバックグラウンド

Linuxはユーザーが命令しない限り、勝手に裏でディスクを激しく読み書きすることがほとんどありません。

メモリの有効活用

一度読み込んだプログラムは効率よくメモリ(RAM)に居座り続けます。16GBものメモリがあれば、Linux Mintにとっては広大なスペースです。必要なデータが既にメモリ上にあるため、遅いHDDにアクセスしに行く回数が劇的に減るのです。

つまり、Linux Mintは「HDDという遅いデバイスでも極力邪魔しない」設計になっているため、Core i7という本来のエンジニアリングパワーが発揮できているのです。

3. 「機能が劣っている」から軽いわけではない

よくある誤解ですが、Linux Mintが軽いのは「機能がスカスカだから」ではありません。WindowsとLinuxでは「OSの作り方」が根本的に異なります。

特徴WindowsLinux Mint
構造モノリシック(全部入り)
あらゆるハードウェア、あらゆるユーザーに対応するための機能が最初から全て組み込まれ、常に待機している。
モジュラー(積み上げ式)
核となるカーネルの上に、必要な機能だけをブロックのように乗せている。
依存関係密結合
ブラウザやクラウド機能がOSの深い部分と複雑に絡み合っている。
疎結合
各アプリや機能が独立しており、システム全体を引きずり回さない。

Linux Mintは機能的に劣っているのではなく、「無駄な待機電力を食わない」「必要な時に必要な機能だけを呼び出す」という効率的な設計をしているため、結果として軽快に動作するのです。

こちらはLinux Mintの「システムモニター」。
この画面を見ると、Linux Mintがいかに「ディスクにアクセスしていないか(数値がほぼ0で静かであるか)」が分かります。
逆に、アプリを起動した瞬間だけ数値が跳ね上がる様子も見て取れるでしょう。
この「静寂」こそが、快適さの証なのです。

おわりに

今回のケースの場合、前述の通り、SSDに換装するだけで大幅に性能向上が見込まれますが、このPCは、会社の受付のデジタルサイネージとしてスライドショウを表示するためのPCとして用いているだけなので、追加で費用をかけたくないとのこと。そこで、Linux Mint上のGoogle Workspaceのスライドを用いることで代用することに。

PowerPointファイルの差し替え作業だけでもとんでもなく時間がかかっていたのが、解決できました。

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この記事を書いた人

情報環境コミュニケーションズ 代表
企業、団体のITコンサル、サポート、システム構築/管理、大学の招聘研究員として大規模調査の設計、集計の効率化、解析などを行っています。
最近ではAI開発環境の構築のサポートも行うようになってきました。
<著書>2008年〜2015年、テクニカルライターとして、週間アスキー、Ubuntuマガジン、Linux 100%, Mac 100%, Mr.PCなど多数のIT系雑誌に寄稿。

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