よく、「Linux Mintであれば古いパソコンでも使える」と言われるのですが、今回は具体的に、いつ頃のパソコンにLinux Mintを入れて実用として使えるか?について見ていきたいと思います。
結論からすると、おおむね2010年代以降に発売された、Windows 7世代以降のパソコンであればLinux Mintをインストールして利用することができる、という目安になるかと思います。
実際、顧問先の古いパソコンを、ご要望に応じて”LinuxMintにアップグレード(?)”して、継続してご利用いただいているのですが、Windows 7/8時代のパソコンでも継続してご利用していただいています。
それでは具体的に見ていきましょう。
パソコンのスペックについて振り返ってみる
振り返ってみると、Windowsの各バージョンにおいて、必要とされる標準的なCPUやメモリ容量は、進化とともに大きく変化してきました。バージョンごとに、事務作業などで快適に使える標準的なCPUおよびメモリ容量をまとめてみると次のような感じでしょうか?(Windows 7以降は64bit版を前提としています。)
Windowsバージョン | リリース年 | 標準的なCPU | 標準的なメモリ容量 |
---|---|---|---|
Windows 95 | 1995年 | Intel 486以上 | 8MB |
Windows 98 | 1998年 | Intel Pentium 200 MHz | 32MB |
Windows XP | 2001年 | Intel Pentium III 500 MHz | 256MB |
Windows Vista | 2006年 | Intel Pentium 4 1GHz | 1GB |
Windows 7 | 2009年 | Intel Core 2 Duo 2GHz | 4GB |
Windows 8 | 2012年 | Intel Core i3 2GHz(PAE/NX対応) | 4GB |
Windows 10 | 2015年 | Intel Core i5 2GHz以上 | 8GB |
Windows 11 | 2021年 | Intel Core i7 2GHz以上の64ビットプロセッサ、4コア以上 | 8GB |
名OSとなった「Windows 7」がリリースされたのは2009年。64bit版の場合、この頃のパソコンのメモリー搭載量としては4GBが標準的になりました。そしてCPUは、それまでのシングルコアからデュアルコアのCPUが普及し始め、Intel Core 2 Duo、AMD Athlon 64 X2が主流となり、以降、クアッドコア(4コア)のCPUへと移行が進みました。
Linux Mintの推奨スペックは?
一方で、LinuxMintが登場した2014年以降のバージョンごとの推奨CPUおよびメモリ容量は次の通りとなります。
Linux Mintバージョン | リリース年 | 推奨CPU | 推奨メモリ容量 |
Linux Mint 17 | 2014年 | 1GHz x86プロセッサ(64ビット推奨) | 1GB |
Linux Mint 18 | 2016年 | 1GHz x86プロセッサ(64ビット推奨) | 2GB |
Linux Mint 19 | 2018年 | 1GHzデュアルコアプロセッサ | 2GB |
Linux Mint 20 | 2020年 | 1GHzデュアルコアプロセッサ | 2GB |
Linux Mint 21 | 2022年 | 1GHzデュアルコアプロセッサ | 4GB |
Linux Mint 22 | 2024年 | 1GHzデュアルコアプロセッサ | 4GB |
”ざっくり”ではありますが、2010年あたりに発売されたパソコンでも、LinuxMintで動かすことができています。
私のように、最新のパソコンのOSをLinuxMintに入れ替えて利用することは、かなりレアケースでしょうが、もちろん余裕で可能です。
正直、手間はかかります。トラブルもありますが、、、
正直、パソコンにLinux Mintを入れるには手間がかかります。一度でうまくいかない場合もあります。
また、インストールできたとしても、プリンターから印刷ができない、文字化けが起きる、解像度を大きくできない、Bluetooth機器が使えない、ネットワークにつながらない、、、など、機種によっては思い通りにいかない場合もあります。パソコンですから、、、
それでもWindowsのように、システム更新後にブルースクリーンで起動不能になるというような困ったことは、あまり起きません。
Linuxというと技術者向けのOSで、敷居が高い?というイメージがあるかもしれません。実際、プログラミング/開発で広く使われています。しかし、Linuxには数多くの”ディストリビューション”というものがあって、その中でもLinux MintはWindowsと同じような感覚で使うことができ、初めてLinuxを使う方にとって、最も優しいディストリビューションの一つであると言ってもいいでしょう。
古いパソコンをLinux Mintで蘇らせる
Windows 10から11へのアップグレードについては、条件が厳しくなっており、Intel第8世代以降の、目安として大体2018年ごろ以降のパソコンである必要があります。
アップグレード対象ではないパソコンでも、無理やりWindows11にアップグレードする方法もあるのですが、今後毎年秋のメジャーアップデートができなくなる恐れもあります。
そこで、すでに新しいパソコンを使っており、Windows 11へのアップグレード対象外であるパソコンが手元にある場合、Linux Mintで蘇らせる、という選択肢があるわけです。
私がLinux Mintをオススメする理由
1. 古いPCでも快適に動作
Linux Mintは、軽量で効率的な作りになっているため、古いPCでもスムーズに動作します。特に、Windowsの最新バージョンをインストールできず、動作が重くなってしまった古いデバイスでも、Linux Mintなら快適に使うことができます。実際、2010年代に発売されたパソコンでも問題なく動作し、ウェブブラウジングやオフィス作業などの基本的な操作であれば、ストレスなく行えます。
2. 直感的で使いやすいインターフェース
Linux Mintのデスクトップ環境は、Windowsに馴染みのある方でもすぐに使いこなせるように設計されています。メニュー構造やウィンドウの操作方法が直感的で、Windowsユーザーには親しみやすいインターフェースとなっています。慣れるのに時間がかからないので、Linuxに初めて触れる方でも安心です。
3. セキュリティとアップデートの安心感
Linux Mintはオープンソースで、セキュリティパッチも頻繁に提供されているため、安心して使うことができます。ウイルスのリスクが少なく、Windowsのようにアンチウイルスソフトを常に気にする必要もほとんどありません。また、Linux Mintは長期サポート(LTS)バージョンが定期的にリリースされ、数年間にわたり安定した使用が保証されています。2024年に公開されたバージョン22は2029年までの5年間のサポートとなっています。
4. 無料で豊富なソフトウェア、自分好みにカスタマイズ
Linux Mintは完全に無料で利用でき、必要なソフトウェアも「ソフトウェアマネージャー」から簡単にインストールできます。ウェブブラウジング用のFirefox、オフィス作業用のLibreOffice、メディア再生用のVLCなど、すぐに使える便利なアプリケーションが豊富に揃っています。また、他にも様々な用途に対応するオープンソースソフトウェアが提供されているため、古いPCでも最新のソフトウェアを利用することができます。
また、デスクトップ環境などを自分好みの見た目に自由にカスタマイズすることができ、自分なりに使いやすくすることができます。
5. デバイス/データの再利用
古いパソコンにLinux Mintをインストールして再生することで、まだまだ使えるデバイスを有効活用できます。同時に昔からの大切なデータ(情報資産)を継続して管理・再利用することも可能となります。
6.幅広さ/奥深さ
マウスを使わずキーボード入力だけであらゆる操作ができるコマンドが充実しているLinuxが中核にあります。
まどろっこしい操作無しに、自由自在にコンピューターを操ることができるようになる感覚は、私にとって、ある種”快感”ですらあります。
このように、自分のスタイルに合わせて、様々な使い方ができる幅広さ/奥深さがあるのもLinuxMintの魅力です。
One Step Ahead
さあ、いかがでしょうか?すでに使っていないパソコンが手元にあるならば、WindowsからLinux Mintにアップグレードして、新しい世界に一歩踏み出してみませんか?
Johokankyo.comチャンネルのYouTube動画も併せてご覧ください。
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