パスワードは決して破られないように大文字、小文字、数字、記号を混ぜて8文字以上に
パスワードは決して使いまわしをしてはいけません。
・・・などと言われても、いくつものオンラインサービスを使っていると、一つ一つのパスワードなんて覚えているなんて無理です。
この問題の解決策として、現時点では次の2つの方法が考えられます。
- パスワードマネージャーを利用する。
- パスキーを利用する
今回は、Google Chromeを使っている方であれば、知らないうちに使っているかもしれないGoogle パスワードマネージャーについて詳しくご紹介させていただきます。
Googleパスワードマネージャーとは?

このGoogleパスワードマネージャーの主な目的は、安全で固有のパスワードを自動的に生成し、ユーザーのGoogleアカウントに保存することで、パスワードを記憶する必要をなくすことにあります 。
このツールは、ユーザーが多数の鍵を安全に保管するための「金庫」のような役割を果たし、ユーザーが管理する必要があるのは、その金庫を開けるための「マスターキー」であるGoogleアカウントのパスワードのみとなります 。これにより、オンラインセキュリティの強化と利便性の向上が同時に実現されます 。
主要機能の解説
Google パスワードマネージャーは、ユーザーのパスワード管理を効率化し、オンラインセキュリティを向上させるための多岐にわたる機能を提供しています。
安全なパスワードの自動生成と保存
新しいオンラインアカウントの作成時や既存のパスワード変更時に、Google パスワードマネージャーは強力で固有のパスワードを自動的に生成し、ユーザーに提案します 。この機能により、ユーザーは複雑なパスワードを自身で考案する手間から解放され、異なるサービス間で同じパスワードを使い回すという危険な習慣を避けることができます 。生成されたパスワードは、ユーザーのGoogleアカウントに自動的に保存されるため、個々のパスワードを記憶する必要がなくなります 。
サイトやアプリでのパスワード自動入力
保存されたパスワードは、ウェブサイトやモバイルアプリのログインフォームに自動で入力される機能を提供します 。これにより、ユーザーは手動でユーザー名やパスワードを入力する手間を省き、ログインプロセスを迅速かつスムーズに行うことが可能になります 。特定のサイトに複数のログイン情報が保存されている場合でも、入力欄を選択するだけで、使用したいアカウント情報を簡単に選ぶことができます 。
パスワードチェックアップ
Google パスワードマネージャーの最も重要な側面の一つは、その「パスワードチェックアップ」機能です。この機能は、保存されたすべてのパスワードについて、潜在的なセキュリティリスクがないかを一括で確認します 。
- 漏洩したパスワードの通知: 保存済みのパスワードが、過去のデータ侵害などによりインターネット上に公開された場合、Google パスワードマネージャーは即座にユーザーに通知し、そのパスワードを変更するよう促します 。
- 脆弱なパスワードの特定: 辞書攻撃などで推測されやすい、短すぎる、または単純なパスワードを自動的に特定し、より強力なパスワードへの変更を推奨します 。
- パスワードの再利用の確認: 複数のアカウントで同じパスワードを使用している場合、その危険性を指摘し、固有のパスワードへの変更を促します 。
これらの機能は、単にパスワードを保管するだけでなく、その「安全性」を積極的に評価し、ユーザーに改善を促します。多くのユーザーがパスワードマネージャーを単なる「保管庫」と認識しがちですが、Google パスワードマネージャーは「セキュリティアドバイザー」としての役割も果たしていると言えます 。これにより、ユーザーは自身のパスワードが抱えるリスクを意識しやすくなり、セキュリティ意識の向上にも寄与します。これは、一般的なパスワード管理ツールが提供する受動的な機能を超え、能動的なセキュリティ強化を支援する点で特筆すべきです。パスワードは暗号化してGoogleのビルトインセキュリティによって保護されており、不正なアクセスをブロックするのに役立ちます 。
デバイス間での同期と一元管理
Google パスワードマネージャーは、Googleアカウントに深く統合されているため、PC、Androidスマートフォン、iPhone、タブレットなど、同じGoogleアカウントにサインインしている限り、どのデバイスからでも保存されたパスワードにアクセスできます 。
Chromeで同期をオンにするか、Googleアカウントにログインしパスワードの使用を許可することで、パスワードは自動的にデバイス間で同期され、常に最新の状態に保たれます 。
これにより、ユーザーはデバイスを問わず、常に最新のログイン情報にアクセスできるという高い利便性を享受できます。
機能 | メリット |
安全なパスワードの自動生成 | 記憶不要、複雑なパスワードの利用促進、パスワードの使い回し防止 |
パスワードの自動入力 | 入力の手間削減、ログインの迅速化 |
パスワードチェックアップ | セキュリティリスクの早期発見、漏洩・脆弱性・再利用の警告 |
デバイス間同期 | いつでもどこでもアクセス可能、常に最新の状態を維持 |
パスワードの確認・編集・削除 | 管理の容易さ、情報の最新化 |
パスキー対応 | 次世代認証への対応、セキュリティと利便性の向上 |
ファミリー共有 | 家族内での安全なパスワード共有(制限あり) |
具体的な使い方ガイド
Google パスワードマネージャーは、様々な方法でアクセスし、日々のパスワード管理に活用することができます。
アクセス方法(Chrome、Web、Android/iOS設定)
Google パスワードマネージャーへのアクセスは、利用しているデバイスやブラウザに応じて複数の経路があります。 最も普遍的なアクセス方法として、passwords.google.com に直接アクセスすることで、インターネット接続があればどのデバイスからでもウェブ経由でパスワード管理画面にアクセスできます。これはGoogle Chrome以外のブラウザを使用している場合でも有効です 。
Google Chromeを使用している場合は、以下の手順でアクセスできます。
- PCの場合: Chromeブラウザを開き、右上のその他アイコン (︙) をクリックし、[パスワードと自動入力] から [Google パスワード マネージャー] を選択します 。
または、https://passwords.google.com/にアクセスします。 - Android/iOSの場合: Chromeアプリを開き、右上のその他アイコン (︙) をタップし、[設定] をタップしてから [パスワード マネージャー] を選択します 。 Androidスマートフォンでは、デバイスの[設定]アプリを開き、[Google] をタップし、[パスワード マネージャー] を選択することでもアクセスできます 。
新しいパスワードの保存と自動入力の設定
新しいパスワードを保存する方法は主に二つあります。
1,新しいアカウントをウェブサイトで作成したり、既存のアカウントのパスワードを入力したりすると、Google Chromeがパスワードを保存するかどうかを尋ねるメッセージを自動的に表示します。この際に [保存] を選択するだけで、パスワードはGoogleアカウントに保存されます 。
2,特定のパスワードを自動保存のプロンプトなしで手動で追加したい場合は、Google Chromeを開き、[Google パスワード マネージャー] にアクセスし、[追加] ボタンを選択します。ウェブサイトのURL、ユーザー名、パスワードを入力し、[保存] をクリックすることで手動で登録できます 。
Chromeの設定では、パスワードの保存を確認するメッセージの表示/非表示を管理したり、パスワードを一切保存しない特定のサイトやアプリを指定したりすることも可能です。
保存済みパスワードの確認、編集、削除
保存されたパスワードの管理は、Google パスワードマネージャーの管理画面から直感的に行えます。
- 確認: 管理画面にアクセスすると、保存されているパスワードの一覧が表示されます。特定のパスワードの詳細を確認したい場合は、該当する項目を選択し、パスワード欄の右側にある目のアイコンを選択することで、パスワードが表示されます 。セキュリティのため、この操作には本人確認(デバイスの画面ロック解除など)が必要となる場合があります 。
- 編集: 保存されたパスワードのユーザー名、パスワード自体、または関連するメモを編集することが可能です。編集したいパスワードを選択し、[編集] ボタンをクリックして変更を加え、[保存] を選択します。メモ機能は、パスワードと同じセキュリティレベルで保護されます 。
- 削除: 不要になったパスワードは、管理画面から簡単に削除できます。削除したいパスワードを選択し、[削除] ボタンをクリックして確認することで、Googleアカウントからそのパスワードが削除されます 。
パスワードのインポートとエクスポート
Google パスワードマネージャーは、他のサービスからの移行やデータのバックアップのために、パスワードのインポートおよびエクスポート機能を提供しています。
- エクスポート: Google パスワードマネージャーに保存されているパスワードは、CSVファイル形式でエクスポートすることができます。
手順としては、Chromeを開き、[Google パスワード マネージャー] にアクセスし、[設定] を選択します。
[パスワードのエクスポート] の項目にある [ファイルをダウンロード] を選択することで、CSVファイルがダウンロードされます 。
- インポート: 別のパスワードマネージャーやCSVファイルから、既存のパスワードをGoogle パスワードマネージャーにインポートすることも可能です 。
ウェブ経由でインポートする場合は、passwords.google.com にアクセスし、右上の設定アイコンを選択し、[インポート] → [ファイルを選択] をクリックしてCSVファイルを選びます 。
Androidデバイスからは、Chromeアプリを開き、右上のその他アイコン → [設定] → [Google パスワード マネージャー] → 設定アイコン → [パスワードをインポート] を選択します 。
インポートするCSVファイルは、「url,username,password」という列名が1行目に記載されている必要があります 。
一度に3,000件までインポートでき、Googleアカウントでは最大10,000件のパスワードを保存可能です 。
パスワードマネージャーの設定管理
ユーザーは、Google パスワードマネージャーの動作を自身のニーズに合わせて細かく調整できます。
- パスワード保存の確認: AndroidデバイスやChromeブラウザで、新しいパスワードを保存する際に確認メッセージを表示するかどうかを、ユーザーが管理できます 。
- 特定のサイトやアプリでのパスワード保存の管理: パスワードを自動保存しないようにしたい特定のウェブサイトやアプリがある場合、それらを「不承認のサイトとアプリ」リストに追加して管理できます 。
- 自動ログイン: 保存されたパスワードでウェブサイトに自動的にログインするかどうかを設定できます 。
- 生体認証の有効化: パソコン(Windows Hello)やMac(画面ロック)で生体認証を有効にすることで、パスワードマネージャーへのアクセスやパスワードの自動入力時に、指紋認証や顔認証といった生体情報で認証を行うことが可能になりますが、この機能はデフォルトではオフになっています 。
- ショートカットの追加: Google パスワードマネージャーへのショートカットをデスクトップやホーム画面に追加することで、より迅速にアクセスできるようになります 。
これらの機能は単に利便性を高めるだけでなく、ユーザーが自身のセキュリティポリシーに合わせてGoogle パスワードマネージャーをカスタマイズできる柔軟性を提供しています。
例えば、「パスワードを保存しないサイト」を指定できる機能は、ユーザーが特に機密性の高いサイト(例:ネットバンキング)のパスワードをGoogle パスワードマネージャーに保存しないという選択を可能にし、セキュリティに対するユーザーのコントロール感を高めます 。
操作 | 主要なアクセス方法/手順の概要 |
アクセス | passwords.google.com に直接アクセス、またはChromeメニュー ([設定] > [パスワード マネージャー])、Androidデバイス設定 ([設定] > [Google] > [パスワード マネージャー]) |
パスワードの保存 | 自動: サイトでパスワード入力後、表示されるプロンプトで [保存] を選択 | 手動: GPM管理画面で [追加] を選択し、サイト、ユーザー名、パスワードを入力 |
パスワードの確認 | GPM管理画面で該当パスワードを選択し、目のアイコンをタップ(本人確認が必要な場合あり) |
パスワードの編集 | GPM管理画面で該当パスワードを選択し、[編集] をタップして変更後 [保存] |
パスワードの削除 | GPM管理画面で該当パスワードを選択し、[削除] をタップして確認 |
パスワードのエクスポート | GPM管理画面の [設定] で [パスワードのエクスポート] から [ファイルをダウンロード] |
パスワードのインポート | GPM管理画面の [設定] で [インポート] を選択し、CSVファイルを選択 |
生体認証の設定 | GPM管理画面の [設定] で [Windows Hello を使用してパスワードを入力する] または [パスワードの入力時に画面ロックを使用する] をオンにする |
安全な利用のためのヒント
Google パスワードマネージャーを最大限に安全に活用するためには、その機能だけでなく、ユーザー自身のセキュリティ意識と行動が不可欠です。
パスワードチェックアップの積極的な活用
Google パスワードマネージャーの「パスワードチェックアップ」機能は、保存されたパスワードの安全性を定期的に診断する強力なツールです。この機能を積極的に活用し、表示される警告(漏洩、脆弱性、使い回し)を無視せず、速やかに該当するパスワードを変更することが極めて重要です 。

これにより、データ侵害による被害を未然に防ぎ、アカウントの不正使用リスクを大幅に低減できます 。この機能は、ユーザーが日常的に直面する「どのパスワードが危険か分からない」「パスワード変更が面倒」といった課題を軽減し、より広範な層が高度なセキュリティプラクティスを実践する障壁を下げる効果があります。
Googleパスワードマネージャーは、単なる利便性ツールではなく、ユーザーのセキュリティ意識向上と行動変容を促す「セキュリティアドバイザー」としての戦略的役割を担っています。Googleは、単にパスワードを保管するだけでなく、その「安全性」を積極的に評価し、ユーザーに改善を促すことで、ユーザーが自身のパスワードが抱えるリスクを意識しやすくなり、セキュリティ意識の向上にも寄与しています。
これは、ユーザーがテクノロジーを盲目的に信頼するのではなく、その機能と限界を理解し、賢く利用するための教育的側面も持ち合わせています。
Googleアカウントの2段階認証プロセスの有効化(「マスターキー」の保護)
Google パスワードマネージャーのセキュリティは、その基盤となるGoogleアカウントのセキュリティレベルに直結しています。そのため、Googleアカウント自体のセキュリティを最大限に強化することが不可欠です 。Googleは、Googleアカウントに「2段階認証プロセス(2FA)」を有効にすることを強く推奨しています 。

2FAを有効にすることで、パスワードが万が一漏洩した場合でも、追加の認証ステップ(例:スマートフォンへのコード送信、認証アプリなど)がなければアカウントにアクセスできないため、不正アクセスを効果的に防ぐことができます 。
Google パスワードマネージャーが「金庫」であると同時に、その金庫の「鍵」がGoogleアカウントであるという比喩で説明すると、鍵が脆弱であれば金庫も脆弱になるという相互依存性が明確になります 。
ですから、基盤となるGoogleアカウントのセキュリティ対策を怠ると、全てのパスワードが危険に晒される可能性があるという重要な点を理解しておく必要があります。
パスワードの使い回しを完全に避ける
Google パスワードマネージャーの自動生成機能を活用し、すべてのオンラインサービスで固有の複雑なパスワードを使用する習慣をつけましょう 。
これにより、一つのサービスから情報が漏洩しても、他のアカウントへの被害を防ぐことができることになります。
しかし、ご経験されているように、以下のような課題もあります。
- Webサイトとの相性: 特定のWebサイトやログインフォームの形式によっては、自動入力がうまく機能しない、あるいは誤った情報を入力してしまうことがあります。
- 同期の問題: ごく稀に、パスワードの同期がうまくいかず、最新のパスワードが反映されていないといった問題が発生することもあります。
- 詳細な管理機能: 他の専門的なパスワードマネージャーと比較すると、タグ付け、カスタムフィールド、ファイル添付などのより詳細な管理機能が少ない場合があります。
パスワードが違うと表示されてしまった場合の解決方法
Googleパスワードマネージャーが自動入力してくれたパスワードが違うと表示され、ログインに失敗する場合があります。その際の対処法についてまとめておきます。
- 保存されているパスワードの確認と修正:
- Googleパスワードマネージャーで確認:
- PCの場合: Chromeを開き、右上のプロフィールアイコンをクリック → 「パスワード」をクリック。または、
passwords.google.com
にアクセス。 - スマートフォンの場合: Chromeアプリを開き、右下の三点リーダー(または縦三点リーダー)をタップ → 「設定」→「パスワードマネージャー」をタップ。
- PCの場合: Chromeを開き、右上のプロフィールアイコンをクリック → 「パスワード」をクリック。または、
- 該当するWebサイトのパスワードを確認し、手動で入力し直す: もし保存されているパスワードが間違っている場合は、正しいパスワードに修正して保存し直します。
- 同じサイトで複数のアカウントがある場合: Googleパスワードマネージャーが、どのパスワードを使用すべきかを誤って判断している可能性があります。その場合は、該当するWebサイトに紐付けられている複数のパスワードを整理し、不要なものを削除するか、それぞれを区別できるように工夫(メモを追加するなど)しておくといいでしょう。
- Googleパスワードマネージャーで確認:
- Webサイト側の問題の確認:
- キャッシュとCookieのクリア: ログインしようとしているWebサイトのキャッシュとCookieをクリアしてみます。これにより、古い情報が原因でログインに問題が発生している可能性を排除できます。
- Chromeの場合: 設定 → プライバシーとセキュリティ → 閲覧履歴データの削除
- Webサイトのログインフォームの仕様: 一部のWebサイトでは、パスワードフィールドが特殊な構造になっていたり、JavaScriptで動的に生成されていたりするため、自動入力がうまく機能しないことがあります。この場合は、手動でパスワードを入力するしかありません。
- キャッシュとCookieのクリア: ログインしようとしているWebサイトのキャッシュとCookieをクリアしてみます。これにより、古い情報が原因でログインに問題が発生している可能性を排除できます。
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