前回の記事では、Linux MintにAntigravityを導入してClaude Codeを快適に使う環境を構築しました。そしてその最後で「バーチャルFDEチーム」という面白い機能をちらっと紹介しましたよね。
今回はそこを深掘りします。「カスタムサブエージェント」で自分だけの組織を作り、実際の業務課題を解決させる方法を、設定ファイルの実例つきで解説します。
前回の記事はこちら

カスタムサブエージェントとは? おさらいと本記事の位置づけ
ChatGPTに「企画書としてまとめて」と頼むとき、あなたはAIに一人で全部やらせています。
でも考えてみてください。本物の仕事でそれをやりますか?
場合によっては一人で抱えて対応せざるを得ないこともありますが、組織として動いた方が効率的です。
- 調査を行い、事実確認をするのはリサーチャー
- 数字を分析するのはデータアナリスト
- 企画書を書くのはビジネス開発担当
- 全体を仕切るのはマネージャー
役割を分けるから、品質が上がる。それをAIでもやろうというのが、Claude Codeの「カスタムサブエージェント」機能です。

一方で、目的に応じて、顧問先に応じて、このようなチームをいくつも作っています。
簡単に言うと、
- 専門スキルと役割を持ったAIエージェントを複数定義する
- それぞれが連携して一つのタスクをこなす
という仕組みです。Claude Code 1.6以降で正式サポートされており、設定ファイルをいくつか書くだけで自分だけのバーチャル組織が完成します。
設定ファイルの作り方:CLAUDE.md + .claude/agents/ フォルダ
カスタムサブエージェントの設定は2つの場所で行います。
① エージェント定義ファイル(.claude/agents/ フォルダ)
プロジェクトのルートに .claude/agents/ というフォルダを作り、エージェントごとに Markdownファイル を1つ置きます。
my-project/
├── .claude/
│ ├── CLAUDE.md ← チーム全体のルール・連携方法
│ └── agents/
│ ├── manager.md ← マネージャーエージェント
│ ├── writer.md ← ライターエージェント
│ └── editor.md ← 編集エージェント
├── src/
└── ...
各ファイルの先頭では、 エージェントの基本情報を定義します。
*これをYAMLフロントマターといいます。
---
name: writer
description: Web記事・ブログ記事を執筆するライター。SEOを意識した構成と、読者を引き込むリード文が得意。
tools:
- Read
- Write
- WebSearch
---
# ライター
あなたはこのチームのWeb記事・コンテンツライターです。
読者が最後まで読みたくなる文章を書きます。
## 得意領域
- ブログ記事・Web記事の執筆
- SEOを意識した構成・見出し設計
## 執筆ルール
- リード文で必ず読者の悩みに共感する
- 見出しは疑問形か数字を含める
- 専門用語には必ず説明を添える
ポイントは description フィールドです。ここに書いた内容がClaude本体が「どのエージェントを呼ぶべきか」を判断する際のキーになります。具体的で明確な説明を書くほど、適切なエージェントが選ばれます。
私は必要に応じて随時加筆修正をしています。
tools には、そのエージェントに使わせるツールを明示します。ライターならファイル読み書きとWeb検索があれば十分ですが、エンジニアエージェントなら「Bash」(コマンドスキル)も必要になります。
② CLAUDE.md(チーム全体の指揮系統)
次に .claude/CLAUDE.md にチーム全体のルールと連携方法を書きます。ここがいわば「組織のマニュアル」になります。
# バーチャルコンテンツ制作チーム
このチームはコンテンツ制作に特化した4名のエージェントで構成されています。
## チームメンバー
| コマンド | 担当 | 得意領域 |
|---|---|---|
| `/writer` | ライター | ブログ・記事執筆 |
| `/editor` | 編集・校閲 | 品質チェック・修正 |
| `/seo` | SEO担当 | キーワード戦略・構造最適化 |
| `/sns` | SNS担当 | 投稿文・ハッシュタグ |
## タスクの流れ
依頼を受ける
└→ /writer が本文を執筆
└→ /editor が校閲・修正
└→ /seo がタイトル・メタ情報を最適化
└→ /sns が告知文を作成
エージェントの呼び出し方
定義が完了したら、あとは普通に話しかけるだけです。
# スラッシュコマンドで直接呼ぶ(エージェントを指名することになります)
/writer この商品の紹介記事を2000字で書いて
# マネージャーに丸投げしてチームで動かす
このキャンペーンの記事、チームで仕上げておいて
# 自然言語でも動く
writerに依頼して、今月のブログ記事を書いてもらって

エージェントごとに、それぞれの担当者ができることを具体的にプレゼンしてくれました。
最後に、現状抱えている課題を把握した上で、次のような対応が可能であることを教えてくれました。頼りになります。

5種類の組織テンプレート:コピーして使えるサンプル集
それでは実際に使える組織テンプレートを5種類紹介します。.claude/agents/ にそのままコピーすれば実際にチームとして動いてくれます。
🖊️ 組織① コンテンツ制作チーム
使いどころ:ブログ運営、オウンドメディア、メルマガ発行
---
name: content-manager
description: コンテンツ制作チームのマネージャー。ライター・編集・SEO・SNS担当を束ねて、記事企画から公開までを一括管理する。
tools:
- Read
- Write
- TodoWrite
---
# コンテンツマネージャー
コンテンツ制作チームを統括します。依頼を受けたら以下の順で各担当に振り分けます。
1. writer に執筆依頼(ターゲット・文字数・トーンを明示)
2. editor に校閲依頼(事実確認・誤字・読みやすさ)
3. seo にタイトルとメタ情報の最適化依頼
4. sns に告知文の作成依頼
最後に全成果物をまとめて報告する。
💼 組織② 営業支援チーム
使いどころ:商談前準備、提案書作成、ヒアリング設計
---
name: sales-researcher
description: 営業支援チームのリサーチャー。商談前に顧客企業・業界・競合の情報を収集し、営業担当が使える形でまとめる。
tools:
- WebSearch
- WebFetch
- Write
---
# 営業リサーチャー
商談前リサーチを担当します。
## 調査項目
- 顧客企業の事業内容・最近のニュース
- 業界トレンドと課題
- 競合他社との比較ポイント
## アウトプット形式
- A4 1枚以内の「商談前ブリーフィングシート」
- 「この会社が今困っていそうなこと」を3点で仮説提示
---
name: proposal-writer
description: 提案書・企画書を作成するライター。顧客の課題に刺さる言葉で、論理的かつ感情に訴える提案書を作る。
tools:
- Read
- Write
---
# 提案書ライター
リサーチャーの調査結果をもとに、提案書を作成します。
## 構成テンプレート
1. 現状の課題(顧客の言葉で)
2. 解決策の提案
3. 導入後のイメージ・実績
4. スケジュールと費用感
5. 次のアクション
## トーン
- 押しつけがましくない
- 数字と事例で説得力を出す
📊 組織③ マーケティング戦略チーム
使いどころ:新商品ローンチ、キャンペーン設計、LP作成
---
name: marketer
description: マーケティング戦略を立案する担当。ターゲット設定・訴求軸・チャネル選定を行い、施策の優先度をつけて提案する。
tools:
- WebSearch
- Read
- Write
---
# マーケター
データと直感を組み合わせて、刺さる戦略を作ります。
## 戦略立案の3点セット
- 誰に(ターゲット・ペルソナ)
- 何を(訴求軸・ベネフィット)
- どう伝えるか(チャネル・フォーマット)
## アウトプット
- 戦略サマリー(1ページ)
- 施策リスト(優先度A/B/C付き)
- KPI設定案
⚙️ 組織④ FDEチーム(前回紹介済み)
前回の記事で詳しく紹介したチームです。技術導入支援・AIカスタマイズ・現場課題解決が得意な7名構成です。
今回のポイント:CLAUDE.mdでFDEの「タスク振り分けロジック」を定義しておくことで、「Notionの整理して」という漠然とした依頼でも、ハービー(マネージャーエージェント)が適切な担当に割り振ってくれます。
※ここに画像(FDEチームのCLAUDE.md設定例)
⚖️ 組織⑤ 法務・契約レビューチーム
使いどころ:契約書レビュー、利用規約チェック、リスク確認
---
name: contract-reviewer
description: 契約書・利用規約・NDAなどの法的文書をレビューする担当。問題条項の抽出、リスク評価、修正提案を行う。法律の専門家ではないため、最終判断は弁護士に委ねることを必ず明示する。
tools:
- Read
- Write
---
# 契約レビュアー
法的文書の初期レビューを担当します。
## レビュー観点
- 不利な条項・一方的な条件はないか
- 解約条件・違約金の有無
- 知的財産権の帰属
- 秘密保持の範囲
## アウトプット
- リスク箇所のリスト(高/中/低)
- 各箇所の解説(平易な日本語)
- 修正提案文(あれば)
## 必須注記
このレビューはAIによる初期確認です。契約の最終判断は必ず法律の専門家にご相談ください。
実践デモ:営業支援チームに「明日の商談準備」を丸投げしてみた
実際にどう動くか見てみましょう。ここでは営業支援チームに商談前の準備を依頼します。
依頼文
明日14時に株式会社〇〇との商談があります。
先方は製造業で従業員500名規模。
うちのクラウド在庫管理システムを提案予定です。
sales-managerに依頼して、チームで準備してもらえますか?
Claude Codeの動き
※ここに画像(エージェント連携の実行ログ)
Step 1:sales-researcherが動く
→ 「株式会社〇〇」をWeb検索
→ 製造業×在庫管理の業界課題をリサーチ
→ 競合製品との比較ポイントを整理
→ ブリーフィングシートを作成
Step 2:proposal-writerが動く
→ リサーチ結果を読み込む
→ 顧客課題に合わせた提案書の骨子を作成
→ 「この会社が気にしそうなポイント」を前面に
Step 3:talk-designerが動く
→ 想定される反論・質問を列挙
→ 各質問への推奨回答を準備
→ 商談の流れ(タイムライン)を設計
10分後に手元に届くもの
briefing_sheet.md:先方企業の調査まとめproposal_draft.md:提案書の初稿qa_guide.md:想定Q&Aと推奨トーク
一人でやれば2〜3時間かかる作業が、依頼から10分で揃います。
複数エージェントをうまく連携させるコツ
複数のエージェントをうまく動かすには、マネージャーエージェントを1人置くのがポイントです。
ハービーパターンの構造
ユーザー
└→統括マネージャー
├→ 専門エージェントA
├→ 専門エージェントB
└→ 専門エージェントC
└→ マネージャーが統合して返す
マネージャーエージェントの定義はこうなります:
---
name: 統括マネージャー
description: チームの統括マネージャー。依頼を受けたらタスクを分解し、最適な担当エージェントに振り分け、成果物を統合して最終アウトプットを返す。
tools:
- Read
- Write
- TodoWrite
---
# Harvey - チームマネージャー
## 役割
依頼を受けたら即座に整理し、適切な担当に振り分ける。
## タスク振り分けの判断軸
- 調査・リサーチ → researcher
- 文章作成 → writer
- 数値分析 → analyst
- 法務確認 → contract-reviewer
## ルール
- 「難しい」とは言わない。「やり方はこうです」と言う
- 情報が足りないときは仮定を置いて進め、後で確認する
- 完成したら「何をやったか」ではなく「何が手に入ったか」で報告する
このマネージャーを介することで、ユーザーは細かい指示を出さなくても、「〇〇チームに任せて」の一言でチーム全体が動き出します。
やりがちな失敗と対処法
❌ 失敗1:descriptionが曖昧すぎる
NG例:
description: 文章を書くエージェント
OK例:
description: BtoBマーケティング向けのホワイトペーパー・事例記事・メールマガジンを執筆するライター。論理構成と数字による説得力が得意。
descriptionが曖昧だと、Claudeがどのエージェントを呼ぶべきか判断できません。具体的な得意分野・文体・アウトプット形式まで書くのがコツです。
❌ 失敗2:toolsを与えすぎる
全エージェントに Bash を渡すと、意図しないコマンド実行が起きることがあります。そのエージェントに本当に必要なツールだけを絞って渡したほうがいいです。
# ライターには不要
tools:
- Read
- Write
- WebSearch
# Bash は不要なので入れない
❌ 失敗3:CLAUDE.mdが長すぎて読まれない
CLAUDE.mdは長ければいいわけではありません。チームの構成・タスクの流れ・重要なルールだけを書き、詳細は各エージェントのファイルに任せる分業を意識したほうがいいようです。
❌ 失敗4:エージェント間の成果物の引き渡しを設計していない
エージェントAの出力をエージェントBが読む場合、ファイルに書き出す→次のエージェントがReadするという流れを設計しておく必要があります。
## ライターのルール(agents/writer.md内)
執筆が完了したら必ず `draft.md` として保存すること。
editorはこのファイルを読んで校閲を開始する。
まとめ:あなたの組織を、今日から作れる
カスタムサブエージェントは、難しいプログラミングは一切不要です。
必要なのは3つだけ:
1,「.claude/agents/ 」(隠しフォルダーに注意)フォルダにMarkdownファイルを置く
2,YAMLフロントマターで name・description・tools を定義する
3,CLAUDE.mdでチームの動き方を書く
これだけで、あなたの業務に特化したバーチャルチームが動き出します。
今日からすぐ試したい方は、まずこの順番で始めてみてください:
- コンテンツ制作チーム(writer + editor の2名から始める)
- 慣れたらマネージャーエージェントを追加する
- 業務に合わせて専門エージェントを増やしていく
「チームに任せる」という感覚を一度掴めば、もう”一人のAI”に頼む気にはなれません。


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