ハードディスクについては以下の記事ようなトラブルが発生してしまうことがあります。
「突然パソコンの電源が落ちるvol.2:今度はハードディスクの異常と熱?」という記事を書きました。
このようなパソコンのトラブルはいつ突然やってくるか分かりません。
ハードディスクには寿命があります。特に、数年使い続けているパソコンの場合には、突然のトラブルに備えてバックアップはとても重要なものとなります。
Windowsには、標準で「バックアップ」機能が搭載されています。しかし、これが結構分かりづらく、弊社のお客様もかなり苦労なさっています。特にバックアップ先となるストレージには、いくつかの制限事項があったりして、これらがうまく行かない要因となっています。そのあたりを踏まえて、具体的な手順をご紹介していきたいと思います。
(1)Windowsのバックアップ機能
さて、Windowsが調子悪くなってしまった時、
「復元」機能によりパソコンを以前の状態に戻す機能や、
「回復」機能によりパソコンをリフレッシュ/工場出荷時状態に戻す方法があります。
詳しくは下記のページをご参照ください。
今回は、最悪の事態に備えてのバックアップを取っておく方法の紹介となりますが、Windowsに標準で搭載されている機能には、大きく分けて2つあります。
1、「ファイル履歴」:日々のバックアップ
個人が作成/保管したデータとして「ライブラリ(ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージック)、デスクトップ、連絡先、お気に入り、OneDrive」のバックアップが行われます。一定期間ごとに自動でバックアップされるので、パソコンが壊れてしまった時でも、最後にバックアップされた時点のデータを取り戻すことが可能です。
2、「システムイメージバックアップ」:最低でも1回
パソコンの中身をまるごとバックアップします。いわゆる「フルバックアップ」ということになります。
ハードディスクが壊れてしまった場合、新しいハードディスクに取り替えて、元通りにして使えるようにできます。頻繁に行う必要はありませんが、最低でも1回は、パソコンが調子がいいうちに行っておくといいでしょう。
パソコンが壊れてしまった場合には、まずは「システムイメージバックアップ」から復旧を行います。これにより個人が作成/保管したデータも復旧されはしますが、頻繁にバックアップするものではないので、データが古いものになってしまいがちです。
最新の個人データは「ファイル履歴」から復旧させるように、両者を併用するのがオススメです。
#今回の事例では(2)「システムイメージバックアップ」による復旧だけ行えばいいのですが、ついでに(1)「ファイル履歴」による日々のバックアップについてもご紹介いたします。
(2)「ファイル履歴」でファイルのバックアップコピーを保存
まずは、日々のバックアップとして「ファイル履歴」を保存する機能についてみていきましょう。
1、バックアップはどこに保存する?
「ファイル履歴」機能でのバックアップ先として以下があります。
- 内蔵ハードディスク/SSDの、システムドライブ(通常Cドライブ)とは別のパーテーション
- 外付けハードディスク
- ネットワーク・ストレージ
1,の方法が簡単です。しかしハードディスク/SSDのトラブルに備えるということであれば、オススメは2、3、となります。
#最近のWiFiアクセスポイントにはUSB端子がついており、簡易NAS(ネットワーク対応のストレージ)環境が簡単に作れます。併せて下記の記事も御覧ください。
(関連記事)USB端子搭載のWifiアクセスポイントを「簡易NAS」にして、バックアップを一元管理。
2、バックアップの設定
「設定」>「更新とセキュリティ」>「バックアップ」を開きます。
「+ドライブの追加」をクリックします。
「ドライブを選んでください」という画面が現れて、そこに表示されるドライブをクリックして選択します。
今回の例では、USB接続による外付けのハードディスクに定期的にバックアップが行われるようにしてみます。
「ファイルのバックアップを自動的に実行」が「オン」になれば設定は完了。とても簡単ですね。
3、初回バックアップ、バックアップ頻度の設定
上の画面の右側中ほどにある「その他のオプション」を、クリックすると、「バックアップ オプション」画面が開きます。
ここで、「今すぐバックアップ」ボタンをクリックするとバックアップ作業が開始されます。
初回はとても時間がかかりますが数時間放置しておけばOKです。
ボタン表示がしばらくすると「今すぐバックアップ」に戻ってしまうかもしれませんが、ディスクのアクセスランプが点滅していれば大丈夫。バックアップ作業は地味に継続されています。
「ファイルのバックアップを実行」でバックアップの頻度を選べます。
「バックアップを保持」では、「無制限」が既定値として選ばれていますが、1カ月~2年の範囲で選ぶこともできます。私の場合は「領域が足りなくなるまで」を選んでいます。
4、バックアップ対象のフォルダーの選択
バックアップの対象となるフォルダーはあらかじめ適当に選ばれています。「フォルダーの追加」や削除も簡単にできます。
5、「システムイメージバックアップ」でディスクを丸ごとバックアップ
続いて、パソコンの調子がいい時などに、最低でも1回は行っていただきたい「システムイメージバックアップ」について見ていきましょう。
#ちなみに私が個人で使用しているパソコンは、3ヶ月に一度、このバックアップを行っています。
1、対応するディスク/ストレージの種類に注意
まず、この「システムイメージバックアップ」ですが、「うまくできない」という相談を数多くいただいています。トラブルの大半は、対応のストレージの問題です。
「システムイメージバックアップ」の場合、ネットワーク・ストレージ(NAS)はオススメしません。技術的な詳細については控えますが、NASの場合、うまく動作しないことが多いです。
#原因の一つとして、NASがLinuxのSambaで動いていることで、バージョンの違いが生じ動作しないなどのトラブルがあったりします。
また、FAT形式のドライブには対応していません。
NTFS形式でフォーマットされたディスクである必要があります。
従って、システムを丸ごとバックアップする場合、NTFS形式のディスクである必要があり、ネットワーク・ストレージではなく、USB接続の外付けのディスクがオススメです。
←条件に合うUSB接続&NTFS形式のハードディスクの一例
2、「システムイメージバックアップ」でディスクの「丸ごとバックアップ」を実行
あらかじめ外付けのハードディスクをパソコンにつないでおきます。
「設定」>「更新とセキュリティ」>「バックアップ」にある「その他のオプション」をクリック。
一番下の方にスクロールして、「詳細設定の表示」をクリックします。
すると別画面で「ファイル履歴」が現れます。
この画面左下の「システム イメージ バックアップ」をクリックします。
続いて「システム イメージの作成」をクリック。
新たに画面が現れて、バックアップに利用可能なディスクの探索が始まります。しばらく待ちましょう。
バックアップに利用可能なハードディスクが表示されたら、選択し「次へ」をクリック。
どのドライブをバックアップに含めるかを選択します。通常は、最初から選ばれている「システムで予約済み(システム)、と「(C:)(システム)」だけでいいと思います。
この例のように何台もハードディスクを接続しており、他にも一緒にバックアップをしておきたいディスクがあればチェックを入れて選択します。「次へ」をクリック。
バックアップの設定の確認画面がでます。ここでバックアップに必要な容量が表示され、どのドライブがバックアップされるかが表示されます。
問題がなければ「バックアップの開始(S)」をクリックします。
作業の進捗状況がグラフで表示されます。
次のように「バックアップは正常に完了しました。」と表示されればバックアップ作業が終了です。
パソコンの復旧手順については次回!
続編となる下記の記事では、この「システムイメージバックアップ」でディスクを丸ごとバックアップしたものを、新しいハードディスクに復旧させた上で、「ファイル履歴」により自動的にバックアップが取られていた、最新の個人データを復旧する方法についてご紹介しています。