またまたお客様から「動作が遅すぎて仕事にならない。。。」パソコンが数台ある、という連絡を受けて出動。早速拝見させていただいたPCは、電源ボタンを長押しして強制終了させたそうです。
起動後タスクマネージャーをチェックすると、「Windows Modules Installer Worker」とAntimalware Service Executable」、そして「System」などが、大量にCPUパワーを使い、99%が使われている状況。
重い。。。
これでは仕事にはなりませんね。
場当たり的対応としては:ネットの接続を切ってみる
このような状況で、急ぎの仕事でパソコンを使わなければならない時、本当に困ってしまいます。
とりあえず、文書の作成、編集だけを行えれば良くて、インターネットにつなぐ必要がない場合であれば、ネットワークの接続を切ってみることで、とりあえず、CPU/メモリーの負荷が低減される場合があります。
無線LANの接続を切ってみると、次の画像のように、CPUの負担が大幅に低減する場合があります。
ネットに接続しなくても行える仕事であれば、このように、いったんネットワークの接続を切ってみる、というのも一つの方法です。
状況によっては、フォルダーを開く操作も、マウス操作も、文字入力も、ひとまず問題なくできるようになります。
・・・とは言え、これは取り急ぎの方法。きちんと問題を修正するには、やはりインターネットにつなげて”治療”をする必要があります。
ネットにつなげると「Windows Modules Installer Worker」が再びCPUを占有し始めました。
#ちなみに、更新履歴をチェックしてみると、インストールに失敗した状況でした。
ひとまず更新をなんとか終えると、次は「Antimalware Service Executable」がCPUリソースを占有し始めました。
これは、「Windows Defender Service」が”くすぶって”いるようなので、Windows Defenderを起動して、定義ファイルを手動で更新。
更新作業が終了したら、「Windows Defender Service」自体のCPUの使用率が低下しました。
ところが、間髪入れずに、順番待ちをしていた(?)次のプロセスが、CPUを占有し始めます。
「サービスホスト:ローカル システム」というもの。
#(カッコ)内の数字(上の画像の場合は”12”)は、いくつものサービスでが一まとめとなって CPUを使っていることを示します。「>」をクリックすると、内訳が表示されます。
「サービスホスト」関連のプロセスはこれ以外にもいくつもあって、ひどい時には「サービスホスト」関連だけで99%を占めてしまうこともあるほどです。
#人間で例えてみると、高熱を発して動けなくなってしまっている状態でしょうか?
「サービスホスト」とは
Windowsでは、ネットワーク機能を提供したり、ストレージを使えるような機能を提供したり、周辺機器を使えるような機能を提供したり、数多くの機能を”サービス”として提供しています。
これらを一括管理するプログラムが「サービスホスト」というもので、実際のプログラム名は「svchost.exe」です。
#残念ながら「svchost.exe」の仕様は公開されていないようです。おそらく多数のサービスの負荷分散を行っているようです。特にプログラムに欠陥があって、サービスにメモリーリーク/クラッシュなどが起きてしまった時にシステム全体への影響を低減させる役割なども担っているものと思われます。
この「svchost.exe」=「サービスホスト」ですが、Windows Updateが行われる際に、CPUやメモリーなどを大量に消費し、パフォーマンスを低下させてしまうことは、かなり前から問題になっています。確かWindows XPの頃からだったでしょうか。。。
特に、更新プログラムの欠陥により、更新を確認する際に大量のCPUやメモリーを消費してしまうことがあることは以前より指摘されています。
#原因について詳しくは、推論しかできませんので控えますが、いずれにしても、更新の検出プロセスの欠陥、更新プログラムそのものの欠陥により、制御不能に陥っているのでしょう。
今回のトラブルは、いずれもWindows 10 Pro Version 1607でメモリー 4GB、CPUはCeleron N2840、N3150、N3050という低消費電力を重視したモデル。Windows Updateの詳細オプションでは「機能の更新を延期する」設定(=CBB)となっています。
コア数もデュアル(2コア)ということもあり、CPUパワーが非力なことで、更新プログラムの欠陥による影響をモロに被ってしまったようです。
耐えて待つのみ
遅い、重い状態であるからと、いきなり電源ボタンを長押しして強制終了させるのは最後の手段に。事態を悪化させてしまう恐れが出てきてしまいます。
#一時しのぎとして、CPUに大きな負担をかけてしまっているサービスを探し出して停止させてしまう、という方法もありそうですが、これもオススメできません。
半端にサービスを停止させてしまうことで、さらに面倒なことになりかねませんので。
可能な限り待つしかないかと。延々と更新すべき箇所を探し続けているのであろう動作が続いている中、処理が終わるまで待つことに。
#高熱を発して、病院に行ってベッドに横になって、点滴を打ってもらうようなイメージかと。
タスクマネージャーを表示させながら、CPUやメモリーの消費量が落ち着くまでひたすら待ってみます。
#こんな時のために、サブのPC/タブレットなどがあるといいですね。
この時、途中でスリープしてしまうと面倒です。「電源とスリープ」の設定を変更しておきます。
「電源とスリープ」の設定:「高パフォーマンス」に
「設定」>「システム」>「電源とスリープ」を開きます。
「電源の追加設定」を開きます。
「スリープ」欄で「次の時間が経過後、PCをスリープ状態にする(電源に接続時)」が「なし」になっていればOK。
#精神衛生的に「画面」設定で、ディスプレイの電源を切らないようにしておいた方がいいかも知れません。
さらに、「電源の追加設定」をクリックすると、より詳細な設定が可能です。
ところで、「追加プランの表示」で”下向き矢印”をクリックすると隠れている電源プランを表示させることができます。
「高パフォーマンス」を選択することで、CPUパワーを常に発揮させることができます。
今回の場合、各パソコン共、3~4時間ほど放置していただいて、ようやく「svchost.exe」が”暴れまくる”状況が収束しました。
実はWindows Updateの更新履歴を遡ってみてみると、
実に、4/22から5/24までの1ヶ月余りの間に、同じ更新プログラムが5回も適用されています。
#Windows 10というOSは、”あちらこちらに不具合を抱えているけど、病気で寝込むほどではなく、仕事をすることはできている”私と同じような状況なのでしょう。
”薬”をあれこれ調合して試しているけど、なかなか効かない状況なのかもしれません。
”効く薬”が届くのを待つ
前述の通り、「svchost.exe」=「サービスホスト」にまつわる不具合が、過去にWindows Updateに関連して数多く発生しています。
このような不具合が発生した後には、さらなる修正プログラムが配信され、それを適用することで問題が治まる、という繰り返しです。
新たな”効く薬”が届くまで、じっと耐えて待つしかありません。
これが、Windowsで動くパソコンを使うための”宿命”なんですね。人が風邪を引いたりケガをするようなことがパソコンにも起こりえるんですね。時には無理をしすぎて寝込んでしまうこともあるわけです。
新バージョンにアップグレードしてしまう
初期のTH1は、長期間にわたるベータテストにより満を持して公開されたこともあってか、とても安定していたのですが、TH2を経てRS1のAnniversary Update(1607)は、ドライバーのエラーやスリープ状態からの復帰エラー、再起動時のエラーなど、機種/環境によってはトラブルが起きるようになり、毎月Windows Updateが行わる毎に、どこかでトラブルが発生している状態にあるようです。
それに比べると、2017年4月11日に正式公開された「Creators Update(RS2:バージョン1703)」は比較的安定稼働しているように思えます。
現在、RS1:バージョン1607でトラブルを抱えているならば、RS2:バージョン1703にアップグレードしてシステムを一新してしまう、というのもいい”治療法”となるのではないでしょうか?
詳しい手順を次の記事にまとめておきましたので併せてご参照ください。
業務継続のための”サブ機”
一流の料理人が日々道具の手入れを怠らないように、パソコンの手入れも怠らないようにしたいものですが、道具自体に欠陥が起きてしまう場合にはどうしようもありません。
Windows PCに不具合が生じた時に備えて、業務継続性を保つために、サブ機としてMacやタブレットなどを備えておく、というのも重要なことだなぁと、改めて強く思う次第です。
更新作業を行った後は「ディスク クリーンアップ」を!
アップデートが終わり、とりあえず”平熱”に戻って、”自分で歩けるような状態”に戻ったら、後始末とお手入れをきちんと行っておきましょう。
”治療のあと”には、ぜひ「ディスク クリーンアップ」を実行しておきましょう。
システム上に残存する”老廃物”を取り払うことで、動きがキビキビとしたものになります。
詳しい手順は、次の記事をご参照ください。