無線LAN=WiFiが遅い、途切れるなど、不安定な時の傾向と対策

お客様から無線LAN(WiFi)が遅いので何とかならないか?という声をよくいただきます。
今回は、無線LANによるネット接続が遅い場合の対応についてまとめてみます。

法人、事業所で使用する場合、セキュリティの設定をはじめ様々に考慮すべき点も多々ありますが、今回は事務所内に設置した無線LANが遅い、不安定な時の対策についてポイントを絞ってお届けいたします。

*新しく、下記の記事を公開しました。併せてご参照ください。

この記事の内容

(1)無線LANの基本的なこと

1、たくさんある無線LANの規格

無線LANでは、2.4GHzと5GHzの2種類の電波が使用されています。
2.4GHzは、機器の発売当初から用いられてきていますが、最近では5GHz帯の電波も使われるようになっています。
無線LANは、「IEEE 802.11」という国際的な規格が定まられており、技術の進歩に伴って、
2.4GHzの場合、「11n」,「 g」,「 b,」
5GHzの場合は「11ac」, 「11n」, 「a」などのさまざまな種類があります。
最近では2014年に「IEEE 802.11 ac」という規格も正式に加わっています。

こうなると一般の方にとってはワケが分からず混乱してしまうことでしょう。

2、2.4GHzと5GHz、どう違うの?

2.4GHzの無線LANアクセスポイント

全ての無線LANアクセスポイントは、この2.4GHzに対応しています。

この周波数は、電子レンジ、コードレスフォン、Bluetoothなどでも利用されており、電波干渉が起きやすい帯域です。この電波干渉によって、通信速度が遅くなったり、ひどい時には接続できないトラブルが発生することもあります。

5GHzにも対応した無線LANアクセスポイント

5GHzは新しい規格で、無線LAN以外では使用されることがあまりない周波数となっているため、比較的電波干渉が起きにくく安定した通信ができるようになっています。

*古い機種や、新しい機種でも低価格のものでは、この5GHz帯に対応していない場合があります。

3、5GHzに対応しているか、見分ける方法は?

5GHzに対応しているかどうかを見分ける方法は、「IEEE 802.11」の「a」に対応しているかどうかです。

カタログ、インターネットの情報、製品パッケージ、製品説明書にこの「a」に対応しているという表記があれば5GHzに対応しています。

#最近では、最新規格で高速な「ac」に対応している無線LAN機器が主流となっています。

(2)遅いのは本当に無線LANアクセスポイントのせい?

まずは回線スピードをチェックしてみましょう。
下記のサイトで計測できます。(あくまでも目安としてご利用ください。)

http://www.speedtest.net/

000SpeedTest

有線LANと無線LANでスピードを比較してみます。

1回だけではなく3~5回ほど計測してみるといいと思います。

有線LANで計測した結果です。↓

001CableConnect

無線LANで計測した結果です。↓

002GWiFiSpeed

基本的に無線LANのアクセススピードが、有線LANでのアクセススピードを超えることはありません。

#「カテゴリー5」という、10base-Tにしか対応しないような、昔の古い規格のLANケーブルを用いていると、有線LANの速度が制限されてしまいます。ご注意ください。「カテゴリー5e、6, 6e, 7」のケーブルであればギガビットの高速通信に対応しています。

有線LANの速度と比較して、せめて7~8割のスピードは出て欲しいものですが、無線でのアクセススピードが大きく劣る結果となった場合、無線LANアクセスポイントが十分なパフォーマンスを発揮できていない、あるいは性能が低いと考えられます。

(3)無線LANが遅い、安定しない原因は?

1、根本的に元の回線が遅い場合

意外かも知れませんが、実は、「無線LANが遅い」という相談を受けた時の原因として、元々の回線の速度が遅いとケースが一番多いものとなっています。

そもそも有線LANのアクセススピードが遅い場合には、根本的に契約回線を見直す必要がありそうです。
光回線で契約をしていてもベストエフォートと言われる「マンションタイプ」などの場合、時間帯によっては、同じビルの入居者によるインターネットへの接続状況によって回線のスピードが変化します。

当然、アクセスが集中すると回線のスピードが落ちてしまいます。

#詳しくは、「NTTフレッツ光、ソフトバンク光が遅いとき、できる限り速くする対応策」をあわせてご覧ください。

2、接続機器の同時使用台数が多い場合

あくまでも単純計算で考えてみると、インターネットの回線が1本の所に無線LANのアクセスポイントを設置して、5台のパソコンで同時にインターネットにアクセスすると、スピードは1/5に落ちてしまうことになります。

さらに、WiFiルーターには複数の端末が同時に接続することができるのですが、実際には同時には通信していません。
ルーターはごく短期間に接続先を切り替えながら通信をしています。これにより、一つの端末が通信している間には、他の端末は通信待ちの状況となります。
これにより、接続端末が多くなると通信速度が遅くなることになるわけです。

#数年前、一般家庭向けのBulffaloの無線LANアクセスポイントで同時接続のテストを行ったことがあります。その機種は64台まで同時接続はできるものだったのですが、16台~20台以上になるとアクセスポイント自体の処理が追いつかず、ハングしてしまう状況が頻発しました。

一般家庭向きの無線LANアクセスポイントの場合、経験上、業務としてある程度使えるのは、機種にもよりますが、5~10台が一つの目安だと思います。

#最近では接続端末の台数、利用人数の目安が機種ごとに表示されるようになっています。

多くのの台数で同時接続するためには、アクセスポイントを増設して負荷を分散するか、50台以上でも安定して利用可能な法人向けのモデルに置き換えるという選択肢になろうかと思います。

#バッファロー社は法人向けWi-Fiアクセスポイントを豊富にラインナップしており、現行でのハイエンドモデル「WAPM-2133TR」では、最大接続台数が384台となっています。


BUFFALO 法人向け 無線アクセスポイント WAPM-2133TR

#いずれにしても、同時アクセスはできたとしても、アクセスポイントのその先のインターネット回線が太くないと、一台ごとの速度は遅いものとなってしまう点には注意が必要です。

(3)無線LANルーターの速度が遅い場合の対応策

有線LANの速度と比較して、無線でのアクセススピードが大きく劣る結果となった場合、次の対応策を試してみるといいでしょう。

1、設置場所を変えてみる

一つ目の対応として、無線LANアクセスポイントの設置場所を見直してみましょう。
無線LANの電波はアクセスポイントからの距離が近いほど強くなります。

また、床に直置きするのではなく、なるべく高いところに置きます。高い所に設置すれば、電波が届く範囲が広がります。

コンクリートや水回り、水槽などは無線LANの電波にとって障害物となります。
コンクリートの壁の隅に置いてしまうと電波が届く範囲が90度に限定されてしまいますので、なるべく部屋の中央に設置します。

また、前述のように、2.4GHzの場合、電子レンジや医療機器などでも使用されており、電波の干渉が起きてしまうと、通信速度の低下や接続ができなくなることがあるので、テレビ、電子レンジ、コードレス電話、Bluetooth対応機器の近くには置かないようにします。

2、電波強度とチャンネルをチェック

二つ目の対応として、「チャンネル」の混雑状況をチェックしてみましょう。

無線LANの電波には「チャンネル」があります。
オフィスビル、マンションなどで、パソコン、スマホ/タブレットで無線LANにつなごうとしてみると、他のオフィスからの電波がいくつも見えることがありますが、同一もしくは隣接したチャンネルの電波が干渉してしまうことで、パフォーマンスが低下してしまうことがあります。

無線LANのチャンネル利用状況の確認ができるアプリを用いれば簡単にチェックできます。

Windowsに対応し、無線LANの電波状況をビジュアルで確認できるアプリとしては「inSSIDer」がおススメです。

バージョン「3.x.x」までは無料で利用できますが、バージョン「4」以上は購入する必要があります。下記アドレスから無料版のダウンロードが可能です。

inSSIDer 3のダウンロードはこちらから

*Softnicは広告が多く、誤って他のソフトをダウンロード&インストールしてしまわないように十分にご注意ください。

Androidスマホ/タブレットであれば、Wifi Analyzerというアプリがおススメです。

Wifi Analyzerのダウンロードはこちらから

inSSIDerを利用して、2.4GHz(IEEE 802.11 G)で接続した時の電波状況を確認してみました。

inSSIDer

画面左下に注目すると、グラフ青い線が自分が現在使用しているものです。赤い線は他の電波です。

近隣にたくさんの電波が飛んでおり、隣接するチャンネルに強めの電波があり、通信が不安定となる状況にあるようです。

一方、同じ場所で、5GHz帯のIEEE 802.11 Aで接続した場合が画面右下部分です。空きチャンネルが多数ある状態で、これならば安定した通信が行えそうです。

InSSIDerA

*5GHz帯は利用できるチャンネル数が多く、それぞれのチャンネルが独立しているため、2.4GHz帯に比べると通信が安定したものとなっています。
ただし距離が離れることで電波が減衰してしまい、直進性が強く障害物に弱いという欠点がありますので、設置場所をよく検討する必要があります。

3、チャンネルの設定を見直す

2.4GHzを用いているIEEE802.11b の場合1ch ~ 14ch、IEEE802.11g では1ch ~ 13chのチャンネルがあります。
5GHzのIEEE802.11a では、今のところ19のチャンネルがあります。

おススメは、無線LANアクセスポイントの「チャンネル設定」を「自動」にする方法です。

無線LANアクセスポイントの設定画面で、チャンネルを「自動」にします。

021Channel_Auto
これにより、近隣により使用されている無線LANのチャンネルとは異なる、混信が起きにくいチャンネルに常時自動的に変更してくれるようになります。

しかし、最近の都市部では、多数の電波が飛んでおり、この自動設定にしたとしても、チャンネルの重複を避けられず、混信してしまう場合も見受けられるようになってきています。

この場合、5GHzで接続するように、環境を見直す必要があるかも知れません。

3、5GHz対応にしてみる

2.4GHzで無線LANを利用している場合、チャンネルの状況をチェックしてみてあまりにもたくさんの電波が飛んでおり、チャンネルの重複によって不具合が発生しているようでしたら、5GHzの周波数帯域を使用し、現行で最速の規格「IEEE802.11a」を用いるように環境を変えることで改善を図れることでしょう。

最近の機種は廉価で高性能/高機能化が図られており、高速通信が可能な「11ac」に対応した機種が主流となっています。

#かなり古いアクセスポイントの場合、暗号化機能がぜい弱で簡単にネットワークに侵入されてしまう恐れがある場合もあります。
無線LAN環境の見直しを機に、新しい無線LANアクセスポイントに買い替えるのも一つの選択です。

ただし、パソコンなどの接続機器の方が「IEEE802.11a」に対応しているかどうかが問題です。
現在販売されているパソコンでも、低価格の機種では、対応していない場合もあります。

この場合、たとえ5GHz対応の無線LANアクセスポイントを導入しても、5GHz帯の電波をつかむことはできません。

そのような場合、「IEEE802.11a」対応の無線LAN子機を用いればOKです。USBポートに挿すだけで使える超小型の子機もリーズナブルな価格になってきています。

(4)増設した無線LAN親機の設定が原因?

NTTなどの回線事業者により提供された機器と、無線LAN親機、それぞれが持つ機能がぶつかり合ってしまう場合(二重ルーター状態)にも「インターネットが異様に遅い」、「インターネットにつながらない」というトラブルが生じてしまうことがあります。

両方の機器には、インターネットに接続するだけではなく、事務所内、家庭内でパソコン、タブレット、スマートフォンなどを便利に使うための機能が豊富に搭載されています。

これら2つの機器が搭載する機能がいくつか重複してしまっていることが原因です。

詳しくは、次の記事に詳しく書いています。併せてご参照ください。

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