弊社の顧問先からパソコンがまともに動かない、という連絡。
電話で症状をお聴きしても、あまりにも動作が重すぎて操作不能、ということで訪問することに。
2015年7月に正式公開となったWindows 10。秋に第1回目の大規模アップデート(バージョン 1511)があり、2016年8月2日には、1周年記念ということで2度目の大規模アップデート(バージョン1607)が行われました。
今回は、サブのノートPCを、いざ使おうと電源を入れたら、全く使い物にならないほど動作が重い状況となってしまった、というケースです。
Windows 10の更新の失敗がトラブルの原因?
OSにとって完璧な状態というのは難しいもので、不具合が発見されるたびに修正/更新が行われます。
基本的には月に一度、第二水曜日にまとめて更新プログラムが配信されるのですが、1511/1607アップデートのように、システムを丸ごと入れ替えるほどの大規模なアップデートの後は、修正プログラムも大規模なものとなったり、セキュリティ上での問題が見つかって、緊急対応が施されることもあります。
2016年8月2日に公開となったAnniversary Updateですが、同日にすでに更新プログラムが配信され、9月13日までに5回の更新が行われています。
更新履歴、それぞれの更新内容の詳細は下記サイトで確認できます。
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/12387/windows-10-update-history
今回のケースは、症状から、システムの更新の失敗が累積していることが原因であるように思われました。早速状況を確認していきたいと思います。
*お客様と同じような状況ということで、8月上旬に1607アップデートを行ったあと、何度か使って、9月になってから一度も電源を入れていないノートPCで、同様の症状を再現することができました。キャプチャー画像は弊社のPCのものです。
1、システムの稼働状況をチェック
まずは、「スタートメニュー(Windowsアイコン)」上で右クリック。
「タスクマネージャー(T)」を選択。
#実はこの作業すら重くて、マウスを操作するだけでも大変です。
どうにかして「詳細(D)」をクリックして、「パフォーマンス」タブを表示してみると、「ディスク」がほぼ100%の状態。
内蔵のストレージ(Cドライブ)からの読み込みが書き込みよりも優先して行われ続けている状況です。CPU、メモリー、Wi-Fiは正常に動作しているように見受けられます。
2、更新状態の確認
「設定」>「更新とセキュリティ」>「更新状態」をみてみると、更新作業の真っ最中でした。
続いて、「設定」>「更新とセキュリティ」>「更新状態」>「更新の履歴」を見てみます。
「インストールに失敗しました」という表記がいくつも。
このような更新プログラムの失敗は、裏で気づかないうちに更新作業が行われているのに電源を強制的に切ってしまったり、ネットワーク接続が作業中に切れてしまった時などに起きてしまうようです。
このように、更新プログラムのインストールに失敗している状況のときには、改めて更新作業を行うにあたって、構成するファイル/プログラムが現状のシステム内にどのような状態にあるか、どこまで更新が行われているか、などの点検作業が行われます。
これこそが、前述の「内蔵のストレージ(Cドライブ)からの読み込みが書き込みよりも優先して行われ続けている状況」となるように思われます。
点検作業を実施し、完了して初めて更新プログラムを改めてインストールすることになるので、とても時間がかかることになるでしょう。
下の図のように、「更新プログラムをインストールする準備」を行っている間に、CPU、メモリーだけでなく、ディスクに大きな負荷がかかってしまい、100%近く占有されてしまうと、アプリも動作できなくなってしまいます。
ホームページを参照したり、エクスプローラを開いてファイルを参照することすらできなくなってしまいます。顧問先から連絡を受けた時は、さらにひどい状態で、マウスの操作すら利かない状況にありました。
対策は、ひたすらじっと待つのみ
今まで問題なく動いていたパソコンが、ある日突然、動作が緩慢に/重くなってしまった場合、多くの原因はこのようなシステム更新関連のトラブルであることが多いように思います。
このような状態になったら、原因を確かめた上で、更新作業が行われていることがわかったら、しばらくじっと、”嵐が通り過ぎる”のを待つように、できれば更新作業が終わるまで、あるいは、せめて更新作業が落ち着くまで、しばらく我慢して待つしかないと思われます。
#なお、ここで、いきなり電源を切ってしまうと、さらにややこしいことになり、最悪起動不能になってしまう場合もあるので注意が必要です。
とはいえ、ワケもわからずにひたすら待つのは大変です。
そこで、上述のように、タスクマネージャーでシステムの稼働状況を、そしてWindowsアップデートの作業状況を確認しながら待つのがいいと思います。
Windows 10パソコンはネットに繋がり使い続けることが前提?
Windows 10のHome/Pro版の場合、基本的にシステムアップデートを止めることができません。
それは、常に最新の状態を保つことでセキュリティ問題などを回避できるようにするためだと思われます。
そんなわけで、Windowsパソコンの場合、トラブル回避のためには、システムを最新の状態に保つために、なるべく稼働させてインターネットにつないだ状態を意図的につくる必要がありそうです。
具体的には、しばらく使っていないPCを講演やプレゼンで使う場合、本番の前日から電源を入れっぱなしにしてインターネットにも繋ぎっぱなしにしておく。
電気消費量が高いのはモニター画面なので、離席中はモニター電源だけが切れるようにしてシステムは起動したままでネットにも繋がった状態にしておく。
ウチの会社の場合は、Windows PCは、消費電力の低いIntel Celeron搭載のノートPCを、いわゆる”クラムシェル”モードにして、常時稼働したままにしています。これにより常にシステムの状態は最新となるようにしています。