今や、日本においてもNo.1シェアとなったGoogle Chrome。
公開当初、Windows標準のInternet Explorerに比べて、”サクサク”軽快に動作することでブームに。
一方で、豊富なアプリ/機能拡張が揃っており、何でもできてしまうほど機能が充実していること、”タブ”を切り替えながら使える、利便性の高さも人気の要因となりました。
そんなGoogle Chromeも、便利な機能を次々に採り入れながら、長いこと使っていくと、”重い”と感じるようになってくるものです。
今回はGoogle Chromeの動作が重くなってしまう3つの原因と、その対策について具体的な7つのアクションとして、まとめてみたいと思います。
Google Chromeが重い!と感じる原因
・・・を無理やり大きく3つにまとめると次のようになるでしょうか。
- OSが64bitなのにGoogle Chromeの32bit版を使っている
- タブをいくつも開きすぎ、機能拡張を入れすぎで、メモリー容量に見合った使い方がされていない。
- キャッシュ・履歴などのデータがハードディスクに蓄積し、読み込みに時間がかかる
まずは対策から
1、OSが64bitなのにGoogle Chromeの32bit版を使っている
→OSが64bit版かどうか確認。64bit版だったらGoogle Chromeも64bit版に入れ替えてみましょう。詳しい手順はこちらの記事をご参照ください。
2、タブをいくつも開きすぎ、機能拡張を入れすぎで、メモリー容量に見合った使い方がされていない。
→メモリー(RAM)の搭載量が少ない場合、タブを開きすぎないようにしましょう。
機能拡張については、メモリー(RAM)の搭載量が8GB以上と多ければさほど気にするほどではないと思うのですが、2GBしか積んでいない場合には、不便にならない限り、不要な機能拡張は削除しないまでも、「無効」にしておくといいと思います。*詳しくは、下記に記します。
3、キャッシュ・履歴などのデータがハードディスクに蓄積し、読み込みに時間がかかる
→メモリー搭載量が少ない場合、使い勝手が悪くならない程度に、キャッシュ・履歴データをマメに削除する。*こちらも手順は後述します。
※このほか、Windowsのネットワーク設定を変更することで改善される場合もあり、後述します。
それでは、詳しくみていく中で、Google Chromeが重く感じてしまう場合、改善のために、次の7つのアクションをご提案します。
(1)Google Chromeのメモリー使用状況をチェック
上の例では17個のタブでサイトを開き、他にもLine, TeamViewerのChromeアプリを開いている状態です。
この時のメモリーの使用状況を見てみましょう。
「スタートメニュー=Windowsアイコン上で右クリック」>「タスクマネージャー(T)」を開きます。
「うわぁ!」ちょっと驚くかも知れません。画面上部、「メモリ」と表記されているタイトル部分をクリックすると、メモリーの使用量が多い順に並べかえることができます。
Google Chromeだけで多くのメモリーを使用しています。
もっと詳しくみてみましょう。
Google Chromeの右上の「三」アイコンをクリック。「その他のツール(L)」>「タスクマネージャ(T)」を開きます。
Google Chromeの、PCリソースの使用状況の詳細が表示されます。
「メモリ▼」部分をクリックして多い順に並べ替えてみます。
「ブラウザ」という表記のGoogle Chrome本体以外に、Googleドキュメント/スプレッドシート、OneDrive、Googleドライブ、Evernote、Lineなどの機能の高い、いわゆるWebアプリやWebページなどが上位を占めています。
それに比べると、機能拡張のメモリー使用量についてはそれほど高くはない状況ではあるのですが、数が多くなればそれだけメモリーを消費していることがわかります。
いずれにしても、このように「タスクマネージャー」をチェックするとGoogle Chromeのメモリー使用量に驚いてしまうことでしょう。
ところが、Google Chromeは、メモリがあればあるほど使ってしまいます。
そうなんです。Google Chromeは、メモリーが空いていれば空いているだけ使ってしまうのです。
Google Chromeでは、タブ、機能拡張、プラグインなど、ひとつひとつの「プロセス」が独立していて、一つのプロセスに不具合が生じたとしても全体に影響を与えることがないような作りになっています。
たとえば、Flash Playerがクラッシュしてしまったとしても、ウェブページ全体、他のタブが停止してしまうことはありません。
ひとつひとつのプロセスを独立させることで、それぞれにメモリーが割り当てられます。
しかし、割り当てるメモリーが足りなくなってしまうと、ハードディスクやSSDの領域の一部をメモリーの代わりとして割り当てます。
メモリー(RAM)とハードディスクのスピードは、とんでもなく違います。ダントツにメモリーの方が速いです。
なので、メモリーの空きがあればあっただけメモリーを使って、高速に処理しようとします。
もう一度、Google Chromeの「タスクマネージャー」に戻ると、メモリーを多く消費しているのは「ページの表示」です。便利だからとタブを多く開きすぎるとメモリーが足りなくなってしまい、速度がガクッと落ちてしまうわけですね。
メモリーが2GBのタブレットでGoogle Chromeを、16GB積んでいるPCと同じ使い方をしていては、重くなってしまうのは仕方ないことになるわけです。
メモリーが豊富に搭載されていないPCの場合、タブをたくさん開いたままにするのを我慢して、不要なタブをマメに閉じるようにすれば、メモリー消費量は確実に抑えられます。
上記のタスクマネージャがメモリー使用状況を示している通り、タブを閉じることでメモリーはその分解放されます。
#もうひとつ、機能拡張のバグ、ページのコードのミスなどから生じる「メモリーリーク」の問題もあったりします。
プログラムが命令を受けて動作をするときにはメモリーが消費されます。
本来ならば、”仕事/役割を終えたら”使ったメモリーは解放する、というのが普通です。
しかし、”片付けをキチンと行わない、お行儀の悪い”プログラムがあったりして、メモリーが確保されたままになってしまうことがあります。これを「メモリーリーク」と呼んでいます。
このような”作りに問題があったりバグがあるような”機能拡張、ページによってメモリーの消費量がかさんでしまってメモリーが足りなくなってしまう場合もあります。
いずれにしても、こまめにタブを閉じるのは面倒、という場合には、次の方法があります。
(2)タブのメモリを自動解放する
Google Chromeには「試験運用機能」があり、問題が発生する可能性もあるため、多少のリスクを冒して、自己責任で試すことができるものがいくつもあります。
アドレス欄に「chrome://flags/#automatic-tab-discarding」と入れてみます。
たくさんの試験運用機能がある中で、一覧から「タブのメモリを自動開放する」という項目が表示されます。
この値が「既定」となっているところを「有効」に変えます。
これにより、メモリーが少なくなってしまったとき、開いていないタブのメモリーが自動的に解放されるようになります。
再びタブを開くときに改めてメモリーが確保されることになります。
#多くのタブを使いたいときにメモリーの使用を抑える機能拡張がいくつもあるのですが、私としてはあまり機能拡張を増やしたくないので、こちらの方法を使っています。
「Tab Discarding機能」が有効になったところで、「chrome://discards」を開いてみます。
システムメモリが不足すると、不要と判断されたタブの動作が自動的に停止されます。
「Discard tab now」という表示部分をクリックすると、即座に不要なタブの動作が停止されます。
(3)表示タブのみを自動再読み込みする
次に、「表示タブのみを自動再読み込みする」という機能を有効にしてみましょう。
これにより、現在表示中の(アクティブな)タブだけが自動で再読み込みされるようになります。
アドレス欄に「chrome://flags/#enable-offline-auto-reload-visible-only」と入力。
プルダウンメニューから「有効」を選びます。
(4)タブ/ウィンドウを高速に閉じる
3つ目は、タブ/ウィンドウを高速に閉じられるようにする設定です。
「chrome://flags/#enable-fast-unload」とアドレス欄に入力。
「タブ/ウィンドウを高速に閉じる」欄で、「有効にする」という表記部分をクリック。
下のように項目全体が”白抜き”の状態になっていれば機能が有効となることを示しています。
以上、3つの試験運用機能の設定は、いったんGoogle Chromeを閉じて再起動することで設定が有効となりますのでご注意を!
(5)使わない拡張機能を無効にする
ネット上/メディアでは便利な拡張機能、Chromeアプリが紹介されていますが、試しに使ってみたい!と思って次々と入れていくと、そのうち不要なものが出てくると思います。
Google Chromeの動きが重い、と感じた時は使用していない拡張機能を削除するか無効にしてみるといいでしょう。
「三」アイコンをクリック。「その他のツール(L)」>「拡張機能(E)」を開きます。
導入済みの拡張機能がリストで表示されるので、「有効」のチェックをオフにすれば無効になります。
本当に不要なものは”ゴミ箱”アイコンをクリックして削除します。
拡張機能はWebページのタブに消費するメモリーよりもメモリー消費量は少ないですが、チリも積もれば…ですので。
(6)キャッシュ・履歴データを削除する
「三」アイコンをクリック。「詳細設定を表示…」をクリック。
「プライバシー」欄の「閲覧履歴データの消去…」をクリック。
「パスワード」、「自動入力フォームのデータ」、「コンテンツライセンス」を消してしまうと、いろいろとアレなので、それ以外のもので不要なものにチェックを入れて、「閲覧履歴データを消去する」をクリック。
これで、いちいち速度の遅いハードディスク内に置かれているデータにアクセスする頻度が低減することが期待できます。
(7)Windowsのネットワーク設定を変更
Google Chromeは、ネットワーク接続状況によって処理を高速化・最適化するようになっているようなのですが、Windowsの”余計なお世話”が邪魔になってしまうことがあるようです。
「スタートメニューを右クリック」>「コントロールパネル(P)」>「ネットワークとインターネット」>「インターネット オプション」>「接続」タブを開いて「LANの設定(L)」をクリックします。
「設定を自動的に検出する(A)」のチェックを外します。
「OK」をクリック。
これにより、Windowsが”余計なおせっかい”をすることをやめさせることで、遅延は多少なりとも低減できそうです。
さて、Webブラウザーのシェアは世界的には以前からGoogle Chromeが首位となっていましたが、日本ではInternetExpolerが最も使われていましたが、2015年秋に変化があった模様です。
Google Chromeのシェア状況
http://gs.statcounter.com/によるWebブラウザーのシェアは、全世界ではGoogle Chromeがダントツ(下図の緑のライン)で、2016年8月は58.37%にも及んでいます。
日本でも2015年秋にInternetExplorerが首位の座をGoogle Chromeに譲り、2016年8月時点では、Google Chromeが39.4%、IEは23.69%、Edgeは4,76%という状況です。
もはやNo.1のWebブラウザーとなったGoogle Chrome。
機能が豊富で使いやすいだけに、使い方、使う環境によっては重い!遅い!と感じてしまうことにもなりかねません。
使用するパソコン/タブレットの能力に見合った使い方をするようにいたしましょう。