今回は、アイディアを整理して、文章や企画などにまとめ上げていくために、アウトライン=「骨組み」を試行錯誤しながら練りあげていき、全体の構造を固めていくのに便利なツールとなる「アウトラインプロセッサー」のご紹介です。
専用のアプリもありますが、Microsoft Wordにも「アウトライン」機能が搭載されています。
「Outline」とは、輪郭、概要という意味。PC関連では、長い文章やプレゼンテーションの下書きなどで必要な項目を箇条書きで書き出したものを「アウトライン」と呼んでいます。
MS Wordでは、「表示」メニューにある「アウトライン」をクリック、または「Ctrl」+「Alt」+「O」で、モードを切り替えて利用できます。
「アウトライン」機能はこんな時に便利
企画書、提案書、報告書、論文など、分厚い(ものとなるであろう)文書を作成するにあたって、まずは全体の構成を(暫定的にでも)固めておきたい時に便利です。
一方で、このような本格的な利用だけではなく、思いついたアイディアを書き連ねたり、連想ゲームの要領でキーワードを羅列したりして、まるで「独りブレスト」のようにして発想をまとめ上げていく時にも便利です。
また、思い悩むことを整理し、問題解決の糸口を見出していきたい場合にも使えることでしょう。
今回は、トップ画のように、本記事を書くのに使ってみました。
4つの操作だけ知っておけば使えます
「アウトライン」機能は、次の4つだけ覚えておけば、十分に使えます。
特に、思いつくままにキーワードを書いていくとき、発想が豊かな時には次々とアイディアが溢れ出てくることもあったりします。
そんな時にはマウスを使うのがまどろっこしくなってしまうもの。まずは次の4つのショートカットを覚えておくと効率的に使えることでしょう。
1、まずはキーワードを箇条書きで次々と入力
- 「Enter」で同じ階層に項目を追加
- 箇条書きで思いつくままにキーワードを羅列していけます。
2、項目(キーワード)を左右に移動
- 「Tab」で階層を下げる
- 「Shift」+「Tab」で階層を上げる
- これにより、キーワード/項目を、大分類項目、中分類項目、小分類項目などにすることができます。
3、項目を上下に移動
- 「Shift」+「Alt」+「↑」
- 「Shift」+「Alt」+「↓」
4.グループをまるごと移動
- 「+」をクリックでグループを選択しマウスドラッグで移動
以上、4つの操作で、キーワードを羅列し、グループごとにまとめたり、入れ替えを行うことで、「独りブレスト」を行ったり、大規模文書の構成を練ることができるわけです。
その他の便利な機能
1、項目内での改行
- 「Shift」+「Enter」
2、折り畳みと展開
- 「+」マークは、下の階層に文字列があることを示します。
- 「+」マークをダブルクリックすることで、下層の文字列の表示/非表示の切り替えができます。
3、レベルの表示(S)
- 「Shift」+「Alt」+「数字キー」でどの階層までを表示させるかを切り替えられます。
- 例えば「Shift」+「Alt」+「2」の場合、「第2階層=レベル2」までが表示されます。
- MS Wordではレベル9まで対応しています。
4、ラベルの指定
- 「ホーム」>「段落」>「リストライブラリ」で、章立ての記号などを階層に応じて自動的に付加することができます。契約書、社内規定などの文書、論文などの作成時には便利な機能です。
5、ナビゲーションの表示
- 「Alt」+「v」+「d」:2ペイン表示風にすることができます。
6、本文の入力キー
- Wordの「アウトライン」機能を下書きに留めず、同じファイルで完成版にまで仕上げる場合、「レベル1」から「レベル2~5」あたりを見出しとして、その下に文章が書かれる構成になると思います。
- 「見出し」と「本文」とを切り分けるために、文章部分にカーソルを置いた状態で、レベル選択画面で、「本文」を選択するか、「Ctrl」+「Shift」+「N」により、その階層が本文として認識されるようになります。
新たに、「本文」を追記したい場合には、いったん「Enter」で新しい空の項目を追加した状態で「Ctrl」+「Shift」+「N」により、本文の追加ができます。
「本文」の文頭には網掛けの丸印が付くので見分けることができます。
アウトラインプロセッサーの利点
1、思いつくままに文章/企画作成に着手できる
作成したい文章/企画に思いをはせながら、まるで連想ゲームのように「キーワードを入力+Enter」で、思いつくままに項目を羅列していきます。
いくつかキーワードが出てき始めて、さらに次々と発想が湧いて来たらしめたもの。
書き連ねたキーワード/項目を並べ替えて構成を練り上げていきます。
項目がある程度出そろったら、不要な項目を削除したり、項目を追加していくことで、全体の構成を練り上げていくことができます。
2、試行錯誤が簡単に
項目を入れ替えることで、論旨を再構成していくことができます。
最初の段階で骨組み(アウトライン)を固めておくことが理想的ではありますが、時間の経過、環境の変化により構成を変えざるを得ない場合も出てきます。
そんな時に便利なのが「グループ移動」。たとえば「章」全体の順番をまるごと入れ替えることも簡単です。
3、書ける所から本文を書ける
文章作成の場合、ある程度全体の構成が固まったら、文章にしやすい箇所から本文を書いていくことができます。
骨組み(アウトライン)を固めながら作業を行うので、全体の進行の中で、本来やるべき事を、見失ってしまうようなことがありません。
4、全体構成を俯瞰
「折り畳み」機能、「レベルの表示」で骨組みだけを表示させて全体の流れをチェックすることができます。
提出期限がある報告書などの場合、全体の進捗を俯瞰した上で、どこに重点を置くべきかを判断し、そのパートに注力することも可能となるわけです。
「断片の集積」のためにアウトラインプロセッサーを活用
私の場合ですが、思いついた事をメモとしてクラウド対応のアプリに書き留めています。内容/気分によってGoogle DocsかGoogle Keepを用いています。
企画書、プレゼン、報告書、雑誌の原稿などを書くときなどには、アプリに書き留められたメモを元に、アウトラインプロセッサーで構成を練り上げるようにしています。
このような新たな発想を産み出すために行うプロセスは、「断片の集積」。
私にとっては、この「断片の集積」を行う作業においてアウトラインプロセッサーが役に立っています。
決して文学的な美しい文章は書けませんが、わかりやすく、伝わりやすい文章となる事を心がけて、短時間で期限に間に合うように、文書の作成ができている、と思っています。